私が生まれ育ったころの小樽は繁栄した時代の名残をとどめていた。住吉神社の祭りには多くの屋台が並び、神社から花園公園まで軒を連ねるほどだった。お化け屋敷もあれば、オートバイの曲乗りもあった。街全体が生き生きしていた。都市としての誇りと風格もあった。その誇りは、小樽を出た人間がきちんと生きていくための姿勢と心の支えになったように思う。小樽は、なによりも私たちの誇りに値する都市であり続けてほしい。故郷の名を挙げる機会をまだかまだかと待てるのは小樽に生まれた人間の大いなる特権である。