2009年に出版した小説「輝きのロザリオ」(文芸社)の舞台として小樽を考え、初めて訪れたとき、明治以降に建てられた近代建築や運河などによって造り上げられたまちなみの美しさに心を奪われました。文化的価値の高い近代建築が、地震や空襲、開発などのリスクによって全国的に著しく減少してしまった現在に至るまで、小樽にはそうしたリスクが少なく、在りし日の情景を写し出すまち並みそのものが残っているという印象を受けます。日本近代建築の父と言われるイギリス人建築家、ジョサイア・コンドルが指導した東京帝国大学造家学科第一期生4人のうち3人の建築家の作品が現存しているのは小樽と東京のみです。小樽に残された歴史的建造物の価値をより多くの人たちに知って頂き、それらを活用した芸術、文化の発信に力を入れたまちづくりが進むことを願い、2018年に国際都市・小樽でスウェーデン人アーティスト6人を招いた「スウェーデン芸術祭in小樽」の企画協力を行いました。小樽の魅力をどう発信していくか等について積極的に文章等で表現していければと思います。