【月刊小樽自身2022年2月号】クローズアップ 小樽市総合博物館へ行こう!

投稿日:2022年01月25日 / 投稿者:otaru

小樽市総合博物館では、本館と運河館それぞれで好奇心をくすぐられる展示が行われています。北海道でも長い歴史を誇る小樽だからこそ、そして今の季節ならではのコンテンツに注目です。

「Cord Marked Pottery 小樽・余市の縄文文化」

小樽と余市あわせて、土器など100点ちかくを展示。
縄文女子や土偶女子……、じわじわと女子にも浸透している「縄文」。北海道では広く分布が見られますが、小樽・余市でも貴重な土器や土偶が多く発見されているんです。1万6000年前から2000年前くらいまでといわれる時代、人々はどんな暮らしをしていたのか。はるかな時を超えてきた日用品や道具を目の前にすると、想像ははるか彼方へとどんどんふくらみます。

モース博士が小樽でも発見していた!
縄文時代が学術的に考察されるのは、アメリカの動物学者であるエドワード・モースが大森貝塚を発見したことから始まります。彼は発掘した土器を「Cord marked pottery」と名づけ、当初は「索紋」と訳されていましたが、のちに「縄文」が定着し現在も使われる用語となりました。

エドワード・モースの随筆「Japan day by day」の挿図から。円筒上層式の特徴をもつ、小樽周辺で採集した土器。

後志最古の土器
縄文ではなく貝殻の縁を使って文様がつけられています。
余市町内で発見されている発掘資料のなかで、最も古い時代の土器や石器(縄文時代早期・約8000年前)が木村台地遺跡から発見されました。

「貝殻紋土器」とよばれる貝殻をした文様が見られます。

縄のより方と組み合わせ
小樽・余市の円筒土器では、単純な縄文だけでなく、2本の縄を組み合わせたもの、縄を押し付けたもの、棒状の道具に巻き付けたものなのがみられます。細い木やヘラのようなものも使われました。

ストーンサークルの時代
縄文時代後期、3500年ほど前になると、後志地方ではストーンサークルがつくられ始めます。人口が増加し、ムラを分けていった結果とされます。このムラで使った土器が、昭和初期に発見された塩谷の地名から「ホッケ潤式(ましき)」とよばれるものです。

土偶もたくさん
北海道では現在、およそ110ヶ所の遺跡から500体を超える土偶が発見されています。複数の出土がある地域としては後志は北限に近いようです。

おもに縄文後期のものでバリエーションに富んだ形。
よーくみると手形がついているものもあります。両方とも8〜10歳の1人の男児のもののよう。

意味のわからない土器も。
そもそも容器とは考えにくい、異形のものもあります。

企画展「Cord Marked Pottery 小樽・余市の縄文文化」
小樽市総合博物館
小樽市手宮1-3-6
TEL:0134-33-2523
〜2022年3月31日(木)
休館日 火曜日
開館時間 9:30〜17:00

新しくなったデジタルプラネタリウム

本館のプラネタリウムが、2021年4月にリニューアルして最新機器を導入しました。解像度が大幅アップした星空と、小樽市総合博物館でしか見られない宇宙への旅などのコンテンツもぜひ体験して。

冬の星空
冬は一等星が多く観察できる季節、7つの一等星があるそうです。一等星を目印にして、オリオン座、冬の大三角、冬のダイヤモンド(冬の大六角形)を探せるそうです。

2月の注目
2月3日の夕方に、細い月と木星の接近があるそうです。

4Kプロジェクターに刷新。
星空をドームに映し出すデジタルプラネタリウムは、2基の4Kプロジェクターで投影するシステムに変更され、高精細の映像となりました。

生の解説は貴重。
学芸員の個性的な、星空の生解説が聞けるのもこのプラネタリウムの特徴。録音された音声にはない、温かみを感じます。

コロナ対策にも配慮。
これまでは部屋の中央から1基のプロジェクターで投影するシステムだったが、これを撤去することでスペースができたので、座席間にも余裕が生まれました。

場所:本館1階・ドームシアター
対象:どなたでも(小学生3年生以下は保護者同伴)
定員:各回21人(先着順)
※まん延防止重点処置の期間中は定員11人
料金:入館料のみ
2月の投影スケジュール
土曜・日曜・祝日 12:00~、14:30~
平日 14:30~
投影時間:各回20分間

「特別公開!花園公園設計図」

小樽公園(花園公園)は、日本人初のランドスケープデザイナーと呼ばれる巨匠が設計したことをご存知ですか? 小樽公園もじつはりっぱな小樽が誇る近代遺産で、その設計図は令和3年度の小樽市有形文化財に指定されました。これを記念して、現在、特別公開されているんです。

小樽市総合博物館所蔵

明治43(1910)年に制作されたこの設計図は幅3.2メートル、長さ2メートルの巨大な図面です。人物と比較するとよくわかりますが、あまりの巨大さのため総合博物館の展示ケースに収まらず、見る機会があまりない資料です。その制作の背景や精緻な公園設計図としても貴重な文化遺産です。

長岡が「大陸的な雄大な設計をしました」と表現した設計図は、1/300の縮尺で、肉筆、筆書き、この大きさのため、植栽される木一本一本がていねいに描かれています。

上3点  小樽市総合博物館所蔵

設計者である長岡安平(ながおか・やすへい)は、幕末に長崎県で生まれ、明治11(1878)年に東京府の土木技師となり、最初の仕事は皇居お堀端の柳の整備でした。その後、東京の公園の整備からさらに設計を任せられるようになります。

「特別公開!花園公園設計図」
小樽市総合博物館運河館
小樽市色内2-1-20
TEL:0134-22-1258
~2022年年3月31日(木)
開館時間:9:30~17:00